2020年車はまだ空を飛んでいなくて、ねこ型のロボットは僕の隣にいなくて、次元転移装置を搭載し膨大な電力によって未来や過去に行ける車は存在しなくて、今年もまた無情に過ぎ去りし否正確には何をするわけでもなくただただ浪費してしまったこの一年を年の瀬に振り返り、感じたこと。それはそうと君と出会ってから僕の人生というものはひどくぎこちなくなり、これといって特別な関係などではないのに例えば君のLINEのステータスメッセージやSNSの投稿を見ては勝手にあれこれ邪推し一喜一憂してみたり一人でもやもやしたりしてみたり、心が勝手に振り回されて、たった1秒でもいいから君の思考の隙間に潜り込みたいだなんて思ってSNSで頻繁に他愛もない投稿をしたりして、気...

5年ほど前の話です。仕事の関係である田舎に行きました。隣の家が500m以上あるくらいの田舎で、転々と家が建っているような山間の地域でした。車を走らせていると、あるT字路の角に建つ家の前に、一人のおばあさんが立っていました。ボロボロの髪で、汚れてくすんだ黄色いチェックのセットアップスーツを着ていました。目を大きく見開いて、フラフラと動き回っています。そのおばあさんは車が通り過ぎるたびに、通り過ぎた車を後ろから覗き込むような仕草をしていました。そのときは田舎特有の変な人だろうくらいに思っていました。お客さんのところでの用事が1時間ほどで終わり、また田舎道を戻って行くと、まだそのおばあさんがいました。明らかにおかしい。1時間も同じ場所で通...