十二国記の日、来たる

こんにちは。
十二月、一年ぶりですね。本格的な冬に入り、厳しい季節がやってきました。
そして十二月十二日が今年も過ぎました。短編読んだよ!ってやつです。

はじめに

この記事は、お気持ち表明記事です。ネタバレしているつもりはない。あなたがネタバレと思ったらそう。お願いしますね。勢いで書いた。漢字ミスあると思う。ごめんね。

十二国記の日に合わせて短編一話が公開されました。わくわくして朝六時に起床。

朝起きたらまだメール来ていませんでした。寝起きの体調は最低でした。そして死んだ顔で幼女戦記を読みました。幼女戦記初読です。面白いですね。とてもハートフルな作品です。越冬は無理、わかります!ハートフル幼女でした。幼女戦記面白かった。

そこから六時間後。正午。

新潮社よりメールを確認。


おいおい、
麒麟のことを覚えているかい?
黒い麒麟のことだよ

麒麟とは慈愛深い情けの生き物だ。仁道の生き物、民の守護者である。

この世界では最高位の霊獣。普段は人の形。天意により王を選ぶ役目を持つ。争いを厭い、血を恐れ、血の穢れで病む。通常は金の鬣を持った生き物。黒麒は珍しく、鋼色で背は黒に銀と雲母を散らす。

戴の黒麒麟は玄君が珍しいというほど珍しい。黒麒麟は稀有な存在だからこそ、白銀が出来たかもしれない。或いは、そうじゃないかもしれない。

黒麒麟は、穢瘁になっても尚生きている。

魑魅魍魎跋扈する宮城を逃げた臣下李斎。民を助けたい、麒麟を探せ、王を取り戻したい。全てはここから始まった。

白銀で泰国の麒麟は、自ら白圭宮に帰った。

「どうやって白圭宮に入りますか」

「正面から」

麒麟は血を恐れ、金色の鬣を持っている。だがこの麒麟は黒く髪が短い。説得力に欠ける。台輔の顔を覚えている人間が殆ど居ない王朝に堂々と行くしかない。国民でさえ台輔を覚えていない。悲しい。これも天の采配なのか。

戴の国民性は、気性が荒い。麒麟というのは、その国の国民性を引き継いでいる。その国民性は麒麟にも流れているはずだが例外もある、はずだった。(詳しくは読んで)

成長した泰麒は正しく戴の麒麟であった。

白銀で色々あり、偽王を倒すべく立ち回った。黒麒麟は大僕と伴に自ら剣を振るい、仲間と自分の主である戴国の王を助けた。

穢れを嫌うのに、なぜ自分で剣を振るったか?

(詳しくは十二国記シリーズを全部読もう)


人は自らを救うしかない、ということなんだ

「あなたが(泰麒)死ねば、あの方(驍宗)も死にます」

麒麟は天が下した生き物で天の範疇内で生きている。そして天意により王を選ぶ。誓約した麒麟と王は二人で一つの存在になる。道を失った王は、麒麟が病になり、やがて王は死ぬ。

仁道を持って国を治めよと太綱に書いてある。道を治めるとは第一に自分を見失わないことを指すと私は思っている。自分が自分の王であることを見失わないことの大切さ。

麒麟が(勝手に)選んだから王になった。こう言い訳をしている王様はダメだと最初に言われたことを忘れる王が多い。

絶対的な存在として天帝は書かれるが、絶対に出てこない。この天帝とは恐らく読者にゆだねられている気がする。

天意を乗り越え、偽朝を倒す為戦った黒麒麟。ちなみに自ら剣を取った麒麟はいないらしい。麒麟が善の生き物であると私は思っていたがどうやら違うようだ。

簒奪者と戦い、穢瘁になった黒麒麟を見て王母は言う。

「……さても穢らわしい」

一言目が嫌味。ウケる~(ウケない)

一生にわたって不調は残る、と告げられた李斎。一言王母に言うと李斎は怒られた。穢れを落としてほしくて蓬山に帰って、また怒られた。既視感ある。

諦めなければ天は見捨てないと国民は言っていた。それにここまで傷つき旅をした。国を救ったのに!救ったのに!これ!また!

次いで泰麒もまとめて指摘された。それ本当に麒麟の仕事だったか、と。確認の冷たさ。全てはおまえたちが悪い。

――なるほど、わかるけどわからないですね。(admin:そうなの…)

意図されたかのように李斎の気持ちになった。

ここで麒麟が死んだら、王が死ぬ、国がまた揺らぐ。そうもう一回告げたらもっと怒られたはずだ。

王が道を失ったわけではない、だから泰麒を治して欲しいと国民は必死になる。ただ王母も天の範疇で生きている。出来ることはたくさんあるけど出来ないことのが多い。

「この世には天が定めた摂理がある」「俺たちにわかるのは、そこに条理がある、ということだ」かつて六太が言っていた(詳しくは黄昏を読もう)

泰麒は無理をしすぎた。麒麟であって、兵卒ではない。人間ではなく、聖獣なのだ。聖獣が摂理を越えることは出来ない。人ではないから蓬山に来なければならなかった。

そしてこの状況を作ったのは戴国民の罪だと再認識させた。

正直、この展開は予想がついていた。当たってしまい残念だ。天に縋ってもどうにもならない。死ぬときは死ぬ決まりのある世界。王と麒麟は天の化身にも等しいのにいつかは死ぬ。

十二国の世界は厳しい。


慶へ

陽子は蓬莱から帰ってきた胎果で慶の女王。戴の麒麟も胎果だ。だから泰麒のことを理解できるのは慶女王しかいないと思い、李斎はまず慶国へ渡った(詳しくは黄昏を読め)

この短編はやばい。往年のファンが震えたと思う。陽子が出てきて叫びたい気持ちにかけられた。

「おかえり」という陽子の優しい言葉に感動した。

延麒に言われ、慶に李斎がやっとやっと(読者としてはn年ぶりに)帰ってきた!李斎は、覿面の罪のことを知らないであろう陽子を籠絡しようと考えていた。それにもかかわらず、優しく陽子は出迎えた。

泰麒は「自分が無力で主上のためにも国のためにも何もできなかった」という認識。

それさえも天の意思なのに。麒麟は天が作ったのに。後悔を背負っていきなければならないのが麒麟。はっきり言ってつらい。私なら投げだす。でも麒麟である以上それはできない。

何回も鬱陶しいが、この黒麒麟は麒麟であって普通の麒麟ではない。天意を変えたが範疇を飛び出せない麒麟である。黒麒麟だからといえば聞こえはいいが、無茶する馬鹿者だということ。いっそ不吉で縁起がいい字を持っているのが泰麒だ。字を付けたころからの予定調和だったら、蓬山に戻ってきた十歳の時点でこうなることが決定していたのではないか。

李斎が慶についたころ、蓬山には景麒が着いた。

覚えていますか、景麒が泰麒に冷たかったことを。厳しい慶の麒麟だ。叱咤(激励)が得意。厳しすぎて十歳の泰麒を泣かせた経験をお持ちの麒麟。泰麒から学び、景麒も心を汲めるようになった。景麒は優しい、それも麒麟だからこその優しさ。

景麒を見ていると陽子の目線になるのは何故だろう。

麒麟は民の守護者であるのに、民を弑した。それは救いようのない罪だ。麒麟は慈愛深い生き物。この発言だって情けにまみれている。景麒は泰麒より年長者。泰麒に対し父親みたいなことを言う。同胞とは冷たく暖かかった。延麒とは違う良さ。麒麟の個性と絆を感じた。

泰麒には人徳がある。沢山仲間がいる。この黒麒麟と王がいればいい国が出来ると思わせる。

麒麟にだって己の人生があり物語がある。王と国の成り立ちを多く読めるのが本編だが、短編では麒麟や他の人物の活躍が読める。十二国記の短編と本編の良さだ。

麒麟は、情けの生き物だが、本当は容赦のない生き物なのではないだろうか。


おわりに

黄朱の民について復習があったこの短編。おさらいが出来たよ。(図南を読め)出自を語ってくれて嬉しい。

白銀の先は多分書かれないだろう。

この先十二国記がどうなるかわからない。いつかのインタビューで作者が次で本編はおしまいと言っていた。これは多分戴のことを言っていたと思う。

国に帰って明るい国を作って欲しいと強く感じさせた短編。戴国の麒麟と王様が長く生きて安定した国が続いて欲しい。泰麒の鬣が立派な姿、無垢で美しい冬の国が見たい。(そして無慈悲でもある)

国が十二あるが、それぞれ滅び新しく生まれる世界観は面白く読者を楽しませる。私のとっても好きな作品です。みんなも再読ぜひ。

短編集が近く出版されますように!


幼女戦記の存在Xもけっこう慈悲が無いと思うけどどうよ。

では至日までご無事で。
茅野でしたん。

(十二国記を読め)

12/16/2020

Gorotuki's Christmas2020

アドベント・カレンダー… というと、書かなきゃ!ってなるので 超ゆるい、てきとう作文集にしました。 みんなDMで送りつけてきて?(笑) 去年のクリスマス作文集はこちら http://squid999.html.xdomain.jp/adcare2019.html