ぬえ教授の素敵なおはなし Chapter.3こんにちは、ぬえです。私の話がまた掲載されると言うことは投稿する人がいなくなったと言うことですね。今日は実際に起こった、ある出来事を思い出したので、文字に起こしてみようと思います。15Nov2020ぬえ教授
ゴロツキ帰り道。この時期になると刺すような風が街を吹き抜ける。俺を含め、見渡す限りの通行人が厚手のコートに顎をうずめて逃げるように歩く。69年の言論統制法施行後いつしか世界中の金持ちたちがなだれ込んできたサハリンだが、それはここが最後に残された自由の地だということを意味しなかった。ここの主要産業は石油・石炭鉱業や漁業であったが、第三次エネルギー革命や海洋汚染によって大打撃を受けていたそれらは、言論の自由を求めて海を越えてきた膨大な人口を受け入れるのに脆弱すぎた。ここから少し南下したニッポンが東アジア連邦に組み込まれた頃くらいからこの街の空には曇天が貼りつき、3ヶ月に一度酸性雨が降り続ける雨季が来るようになった。だから言っただろう、ここは最後...08Nov2020